住宅を建築する際には、工事監理者を定めて工事監理を適切に行わなければなりません。
「工事監理」とは、工事を設計図書と照合し、それが設計図書(多くの設計図面)のとおりに実施されているかいないかを確認することをいいます。そして、「工事監理者」がその「工事監理」を行うわけです。この「工事監理者」は建築士です。
つまり、その住宅が設計図面通りに、適切に建築工事がなされるかどうかは、工事監理者による工事監理が最も重要なことなのです。
しかし、この工事監理が適切に実施されていない現場が多数を占めているのが、住宅業界の悪しき現状です。
弊社は、年間1000件を超える現場で住宅検査(住宅診断)などを行っておりますが、それらの経験から、そもそも工事監理者が現場に来ていないことがどれほど多いことか、、、
しっかり住宅を建てる為の工事監理者が不在で、工事監理がまともに実際されていないなか、安心できる住宅が建築されるとは思えませんね。
もちろん、工事監理者が適切に監理を行い、適切な工事が行われている現場もあります。しかし、それは残念ながら少数派です。
また、工事監理が適切に実施されていなくても、工事が適切に行われることもあります。それは、施工会社・現場監督・現場の職人の全てが良い会社や人である場合です。この良いとは、人柄のことではありません。技術・知識・仕事への責任や情熱がある会社や人のことです。
そういった条件が揃えば、工事監理者が不在でも良い住宅が建築される場合もあります(結果が良ければいいわけでないですが)。
あなたが建築する(あるいは購入する)住宅の施工会社や現場監督、職人が良いかどうかを事前に知ることは現実的には無理があるでしょう。
これでは、良い住宅が建築されるかどうかは、まるで運・不運の問題になってしまっています。
工事監理者は、建築確認申請(=こんな家を建てますよ、という行政への申請)では書面に明記されます。しかし、記載されるだけで現場に工事監理に行かないことがあまりに多いため、問題となっているのです。
ちなみに、工事監理者とは別に現場監督という人がいます。監理者と言葉が似ているために混同される方もいらっしゃいますが、全く異なるものです。一般的には、現場監督は工事の進捗管理・段取りをしつつ、適切に工事が実施されるようにチェックするものなのですが、現実には進捗管理(工事の段取り)しかできていない現場監督が多いです。
現場監督には、若い人も多く、職人の方がベテランで指示を聞いてもらえないこともあります。これでは、良い家作りができるとは思えません。
弊社の住宅あんしん工程検査は、工事監理者となるわけではありませんが、建築工事が適切に実施されるように第三者として検査を行うものです。このような業界の現状には本当に必要な住宅検査サービスだと考えています。