今まで多くの方から、「大手のハウスメーカーで家を建てるので安心ですよね？」と質問されてきました。
その回答は、「ノー」です。
多くの大手ハウスメーカーの住宅を検査していますが、非常にひどい施工がされているものも少なくありません。これは、今までに住宅検査をしてきた実績から断言できます。
もちろん、素晴らしい施工がされていることも多いです。
「監理者がいない！（監理・監督と住宅検査）」でも記載した問題は、何も中小零細企業だけのことではなく、大手ハウスメーカーも全く同じなのです。むしろ、大手ハウスメーカーは抱えている現場数が多く、その全てを工事監理者がしっかり監理することは難しいのです。
以前、実際に施工に問題があった際に大手ハウスメーカーのその現場の工事監理者に現場に来てもらったことがあります。
その工事監理者が私の目の前で言ったセリフがこれです。
「うちは大手で現場が多いので、いちいち現場になんか行ってられない」
完全に感覚がマヒしていて、自分たちのやっていることの問題には気づいていないし、開き直っている様子には驚きました。 誰もが知っている大手ハウスメーカーのケースでした。これは、この監理者だけの問題ではありません。業界システムの構造的問題であり、すべてのハウスメーカー、全ての工事監理者に言えることです。
大手ハウスメーカーといえども、現場で施工しているのは下請けや孫請けの業者であって、ハウスメーカーの社員でないのはもちろんです。
１戸の住宅を建築するには、こういった多数の下請け・孫請け業者が現場に入ります。これらの業者を工事監理者が監理しないと、良い住宅が建てられる可能性は低くなってしまいますが、その工事監理者が現場にいないのです。
検査をした実績だけでなく業界構造を考えても、「大手だから安心」とは言えないのです。